東日本大震災からの復興フェーズでは、必要な情報収集・発信の手段としてソーシャルメディアが注目を集めている。ただ問題は、ソーシャルメディアで受信・発信する情報が被災地の復興に本当に役立っているのかどうかということ 。一般社団法人「助け合いジャパン」の石川淳哉理事は今月17日、東京・霞が関の世界銀行東京事務所で開かれた世界銀行パブリックセミナー「防災とソーシャルメディア」で講演し、同団体が進める、支援物資が必要な人・地域とNGO・ボランティアをつなげる「助け合いジャパン・プロジェクト」の概要を紹介した。

情報レンジャースタッフの活動風景。自ら撮影した映像や写真の一次情報をウェブサイトに載せる
助け合いプロジェクトでユニークなのは、助け合いジャパンのスタッフが被災地を車で走りながら、港の復興状況をはじめ、被災地の“生の情報”を収集し、ツイッターやフェイスブック、ウェブサイトなどで発信している点。つまり、誰かがツイッターでつぶやいたり、フェイスブックに書き込んだりした内容を「二次情報」として流すのではなく、自分たちの目と足で集めた「一次情報」を提供するのが特徴だ。被災地の巡回では、このアイデアに賛同しトヨタ自動車が寄付した「エスティマハイブリッド」が使われている。
このプロジェクトで提供する情報は文字だけではなく、映像も扱う。iPhoneやiMovieを使って被災地の様子を撮影。

集めた被災地情報をツイッターで発信する石川氏(写真左)。助け合いジャパンでは、スタッフ間の情報共有もフェイスブックやツイッター上で行ってきた
車内で編集し、ツイッターやフェイスブック、ミクシィ、ブログなどにそのままアップロードするという迅速さが強みだ。
しかも同じ場所を定期的に撮影することで、復興の進み具合が一目でわかる。360度全方位撮影技術を用いるため、周囲の状況も併せて把握できる。
これらの情報を、政府が発表する情報と重ね、助け合いプロジェクトのウェブサイト上のマップに掲載。すると「点」のようにバラバラだった情報が立体的に浮かび上がる。このマップは、被災地に住む人々だけでなく、被災地支援を手がけるNGO・NPOにとってもかなり重宝しそうだ。

福島県いわき市で撮影・観測するスタッフと石川氏(写真右)
助け合いジャパンはまた、宮城県震災復興企画部や河北新報社、東北JTB、東北学院大学、電通などと協力して、このプロジェクトを発展させ、宮城県で「地元メディア」として事業化する計画を進めている。
第一段階として、現地の復興状況に詳しいスタッフを「情報レンジャー」として雇用し始めた。この計画が重要なのは、単なる防災メディアではなく、持続可能な防災コミュニティを築く点にある。
世界銀行やJICAなどの援助機関は「防災」を最重要課題のひとつに位置付け、途上国で多くのプロジェクトを展開している。石川理事は、日本だけでなく途上国でも起こりうる大震災に向けた防災ネットワークを作ることは必要、と繰り返し強調した。

被災地で観測した映像情報は車内ですぐYoutubeやUstream経由でウェブサイトにアップロードする
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