2011年 10月25日 BY 才田 恵里奈
アジア開発銀行(ADB)駐日代表事務所で、10月18日、就職セミナー「アジア開発銀行で働く」が開催された。ADBの神崎康史予算人事経営システム局長、服部成子東南アジア局公共政策・金融・貿易課長、久保田真主席人事専門官の3人が、ADBのビジョンや求められる人材、採用プロセスなどを説明した。
「自分だけ輝きたい人」には向いていない
ADBの採用は狭き門だ。各ポジションで一人の採用枠に100人以上が応募することもあり、ヤング・プロフェッショナル制度(※)では毎年1000人以上の応募者の中から数人のみが選抜される。

左から、ADBの神崎康史予算人事経営システム局長、服部成子東南アジア局公共政策・金融・貿易課長、久保田真主席人事専門官(ADB 駐日代表事務所で)
この就職セミナーを通じてわかったのは、「コミュニケーション力」と「解決策を具体化できる力」を兼ね備えた人材が職員になっているという事実だ。言い換えれば、さまざまなカルチャーバックグラウンドをもつ人たちと摩擦を起こさず、かといって摩擦を恐れて議論を回避するのでもなく、チームワークを生かしながら、責任を持って結果を残していくという方法が求められる。その他にも、顧客の立場に立って考える姿勢も重要だという。
「自分だけ輝きたいというタイプの人に(ADBの仕事)は向いていない」(久保田専門官)、「ADBで活躍している職員には『一緒に働こう』という心意気を感じられる人が多い」(服部課長)といったアドバイスも送られた。
ADBが融資先の国に行って最初にするのは、政府機関との話し合いだ。途上国政府の思い描く経済成長を理解したうえで、どう手伝えるのかを考え、具体的なプロジェクトに仕立てていく。融資や技術協力、キャパシティビルディングをする前段の話し合いが重要で、質の良いコミュニケーションなくしてプロジェクトの協力体制を築くことはできない。
また、プロジェクトの進ちょく状況をめぐる顧客との話し合いで問題が生じた場合、机上の空論をかざしても、相手に理解してもらうのは困難だ。問題解決策や結論をいかに目に見える形、手に取れるような形で提示できるかが大切だという。
10年前後の実務経験と高度な専門的知識が必須
例えば、金融セクターでは、金融システムの知識が不可欠だ。政府に対する予算の補助を行う「プログラムローン」というモダリティをとることもあり、法律の成立、キャパシティビルディング、中央行政の強化など、プログラムの構成要素の全てを理解していなければならないからだ。
こうした高度な専門的スキルが求められるため、ADBの職員の学歴はMBA(経営学)取得者16%、経済学や相当の修士課程修了39%、博士課程修了31%、学部卒14%という結果に。最低10年以上の各専門分野での経験があることが望ましく、※ヤングプロフェッショナル制度(32歳まで)以外のエントリーレベルの平均入行年齢は35歳程度だという。
フィリピン・マニラに本部を置くADBは1966年に創立され、現在の加盟国は67カ国・地域。日本は米国に並んで最大の出資額を誇り、「貧困のないアジア・太平洋地域」というビジョンを支えてきた。アジアは世界の貧困層の3分の2を抱える地域ということもあり、ADBは近年、ポストやリクルートの数を増やしている。女性職員の割合も、2009年時点の29%から将来的には35%程度にまで引き上げる方針だ。
※ ヤング・プロフェッショナル制度
「アジア開発銀行」加盟国の国籍を持つ32歳以下の青年で、大卒以上の財政・経済・経営管理、交通マネジメント、公共マネジメント、都市計画、環境、施工等の関連する学歴を持ち、専門分野で3年以上の実務経験があり、英語に精通し、外国籍の人々と共同作業できる人材を募集する制度。期間は2年間。アジア開発銀行ホームページより
参考:アジア開発銀行 採用ページ
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